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現場の気づきを “ROI” という共通言語に変える ― グループ会社横断コミュニティ「B-Hub」、地方初開催ワークショップレポート

現場の気づきを “ROI” という共通言語に変える ― グループ会社横断コミュニティ「B-Hub」、地方初開催ワークショップレポート

「Breakthrough Hub(B-Hub)」は、某大手グループ企業の有志社員が、事業会社間の垣根を越えて立ち上げた社内コミュニティです。それぞれが、日々の業務のなかで感じている小さな違和感や課題を、グループ全体の改善につながる提案へと昇華する ――― そんな思いから、2026年5月21日に地方で初となるリアル形式のワークショップを開催しました。

所属も職種も異なるメンバーが参加し、互いの視点を持ち寄りながら、現場の課題を「費用対効果(ROI)」という共通言語で語れる提案へと形にしていく試み。その取り組みを、現場の課題を「費用対効果(ROI)」という共通言語で語れる提案へと形にするROI-Makerと、ワークショップ参加案内と手続きに、資料から研修・マニュアル動画をつくるPIP-Makerでサポートさせていただきました。

今回のワークショップの企画・運営を担ったB-Hubのメンバーの皆さまに、お話をうかがいました。

今回のイベントを企画した背景を教えてください。

私たちが属するグループは、医薬品や食品など、複数の事業会社を抱えながらも、これまで事業会社間の交流はほとんどありませんでした。そんな課題を前に、立場や役割にかかわらず、異なる会社のメンバーが垣根なく交流できる場をつくりたいと考え、2024年11月にB-Hubを発足させました。
挑戦したいと思う人の背中を押し、それぞれが抱える課題を持ち寄ることで、解決の糸口を生み出せるハブになりたい ――― B-Hubという名には、そんな思いが込められています。

ワークショップを地方のリアル開催としたのは、メンバーの一人が本社勤務時代に感じた「リアルとオンライン両方のコミュニケーションを経験するなかで、地方の拠点からのオンライン参加には、どうしても温度差が生まれてしまう“交流のボトルネック”を解消したい」という想いがありました。

今回のワークショップで取り上げたテーマは「ROI」です。特に大切にしたのは、改善の出発点を現場に置くことでした。日々の業務の中には、「ここがもう少しやりやすくなれば」「この作業は工夫できるかもしれない」といった、現場だからこそ気づけることがあります。一つひとつは小さくても、そうした違和感や気づきが改善の最初の一歩になると考えました。一方で、現場のアイデアは、そのままでは数字に置き換える機会が少なく、提案する際には業務時間やコストなどの効果を示すことも求められます。

そこで今回は、現場の気づきを出発点に、改善案へと整理し、さらに数字で捉えてみるための手段としてROIを取り上げました。ROIを学ぶこと自体が目的ではなく、現場にある改善の種を、実際の変化につなげていくことが今回の狙いです。

「アイデアのままで終わらせず、数字という共通言語に変換できれば、もっと伝わるのではないか」。そこに、業務課題をひとこと入力するだけでAIが費用対効果(ROI)を可視化し、解決提案書を自動生成・共有できる4COLORSの「ROI-Maker」が重なり、企画が動き出しました。

ワークショップ実現までに見えてきた課題や工夫した点を教えてください。

検討を進めるなかで見えてきたのが、「アイデアをどう費用対効果に落とし込むか」という難しさでした。「何を効果として捉えるのか」「どの軸で評価するのか」「どのように計算するのか」。金額だけでは測りにくい改善も多く、業務時間の削減、品質向上、リスク低減、従業員の負担軽減など、複数の観点を整理する必要がありました。

この検討を一人や一つの部署だけで進めると、どうしても既存の経験や役割の範囲に発想が限定されてしまいます。グループには、所属も職種も業務経験も異なるメンバーがいます。異なる立場から同じ課題を見ることで、自分たちだけでは気づけない視点や解決方法が生まれるのではないかと考えました。

アイデアそのものだけでなく、ほかの会社や部署ではどう考えているのかを知ることにも大きな意味がある―――今回、グループ会社を横断する形でワークショップを実施した理由はここにありました。

参加者の事前準備については、あえてシンプルな設計にしました。企画段階では事前課題を詳しく設定する案もありましたが、時間を要する課題設定を義務化すると、参加への心理的・実務的なハードルが上がり、かえって参加しにくくなるのではないかという意見が挙がったためです。

そこで今回は、参加者に「現在感じている問題」を簡潔に記載してもらうだけにとどめ、当日の対話やワークに集中できる設計を重視しました。
その事前案内や使用ツール登録には、4COLORS社の「PIP-Maker」で作成した動画を活用しました。

ワークショップ事前案内動画より抜粋
ワークショップ事前案内動画より抜粋

ワークショップ当日の様子と、得られた成果を教えてください。

当日は、まずROI(投資対効果)の基本的な考え方を簡潔に共有するところから始まりました。ROIそのものの専門的な計算手法を習得することが目的ではなく、アイデアを提案へと変えていく際に「どのような効果が期待できるのか」「その効果をどう説明できるのか」を考えるための共通言語として紹介しました。

参加者を5チームに分け、持ち寄った現在の課題について、グループごとに意見を出し合いました。課題の背景、影響を受ける人、改善した場合に得られる効果などを、異なる立場の参加者同士で整理していきます。

ワークを通じて出たアイデアの一部は、最後にROI-Makerを用いて数値化。抽象的だった改善案が具体的な数字として示されたことで、参加者に「効果を伝える」という感覚を、より具体的にイメージしてもらうことができたと思います。

特筆すべきは、各グループの時間削減効果の可視化ができたことに合わせて、参加者の挑戦意欲が参加前に比べ100%高まったことです。これは、自身の身近な課題が利益貢献できることに繋がった体験だったからだと思います。

ROI-Makerの管理画面:こちらはサンプル画像です。実際のワークショップの数値ではありません。
ROI-Makerの管理画面:こちらはサンプル画像です。実際のワークショップの数値ではありません。

今回のワークショップは、コミュニティメンバー自らが地方で企画・立案・運営する、初めてのリアル開催イベントでした。初回ということもあり、自己紹介に想定より時間がかかり、当日の課題解決に充てられる時間がやや限られてしまった面はありました。

それでも、オンラインでは得にくい偶発的な会話やその場での率直な意見交換が生まれ、参加者同士の交流を深めるという目的は十分に達成できたと思います。ワークの成果だけでなく、今後相談し合える関係や、会社の枠を越えて話せるつながりが生まれたことも、今回の大きな成果のひとつでした。

<アンケート結果> 

アンケート結果
アンケート結果

~ 参加者の声 ~

●利益意識の向上につながり、各現場と管理職で見える化し、検討することができればと思いました。
●日々の業務で感じているもっと効率化できそうという漠然とした考えを、ROI-Makerを使用することで具体的な数値で考え提案することができ、新たな視点を得られました。

今回の取り組みを通じて気づいたことや感想を教えてください。
現場の課題は、最初から完成された企画として存在するわけではありません。小さな違和感や困りごとを言葉にし、異なる立場の人と話し合い、効果の見方を整理することで、初めて改善案として形になっていくものです。

ワークショップを通じて、ROIはアイデアを否定するための基準ではなく、アイデアの価値を会社に伝えるための道具として活用することが重要だと実感しました。
今回生まれたつながりや気づきを一度限りで終わらせず、現場のアイデアを具体的な改善へつなげる次の一歩にしていきたいと思います。

仙台開催ということもあり、当初参加者は15名ほどを想定していましたが、それを上回る応募をいただきました。この取り組みに関心を持ち、足を運んでくれた参加者の方々、そして声かけに一緒に尽力してくれた仲間たちへ、あらためて感謝を伝えたいと思います。
また、今回の取り組みは、4COLORS様のご協力がなければ実現できませんでした。グループ会社横断のコミュニティにおいて、地方でリアルに集まり、課題を共有し、参加者同士が交流する貴重な機会をつくっていただいたことに、心より感謝しています。

株式会社4COLORSより  (代表取締役社長 加山緑郎)

このたびは、このような学びと実践の機会をつくっていただいたB-HUB運営の皆様に、心より感謝申し上げます。
今回のワークショップで大切にしたのは、「課題を出す → 解決案を考える → 時間削減の効果を測る → 組織全体に広げる」という流れです。

まずは、自分たちの身近な業務課題を出し合い、チームで「どうすればもっと良くできるか」を考えました。さらに、解決策を出して終わりではなく、「何分・何時間減らせるのか」「金額にすると、どれくらいの価値になるのか」まで考えることで、日々の改善をROIという数字で捉えていきます。

今回は、5チームから11件の改善に向けたアイデアが挙がりました。これらには、現時点では実現性が確認できていないものや、「もしこのような解決策が実現できたら」という希望的な発想も含まれています。そのうえで、すべてのアイデアが想定どおり実現したと仮定して試算すると、導入前1,600分の業務が273分となり、1,327分、約83%の時間短縮につながる可能性が示されました。

大切なのは、こうした改善を一部の人だけの成果で終わらせないことです。数名が見つけた良い方法を、部署や拠点を越えて多くの人に広げていけば、その効果は大きくなります。たとえば、1人あたり1時間の削減でも、1万人に広がれば1万時間の削減です。現場では小さく見える改善も、組織全体では大きなコスト削減や利益改善につながります。

これまでROIやROICは、少し経営に近い言葉として捉えられることが多かったと思います。ただ、現場の課題解決から生まれたROIの積み重ねが、最終的には経営のROIC改善につながっていく。そう考えると、現場の活動と経営は別々のものではありません。ROIが共通言語になることで、一人ひとりの改善が会社全体の成果にどうつながっているのかも、見えやすくなります。

AI時代には、AIエージェントによって生産性はこれからさらに高まっていきます。一方で、「何を良くしたいのか」「何に挑戦するのか」を決めるのは人です。ROI-Makerは、現場の課題を「人・モノ・金・時間」に分けて整理し、解決策とその効果を見える化することで、良い改善を組織全体に広げていくための仕組みです。
一人ひとりの課題を、解決へ。解決を、成果へ。成果を、組織全体の価値へ。
これからも「伝わる価値をつくる」ことに取り組んでいきたいと考えています。

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